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建築士の働き方改革。ディープラーニングによる間取図読み取りシステム「BLUEPRINT by RENOSY」の紹介。

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不動産×AI

Nov

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WORDS BY山崎 陽平
POSTED2020/11/16
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AI Strategy Center (以下 AISCとして略) の山﨑です。
AISCでは不動産価格予測エンジン開発や営業販売支援のためのオンラインプレゼンテーションツール(*1)の開発など、不動産業界のDX推進に関わる様々なプロジェクトを進めています。

今回は、私が携わっているBLUEPRINT by RENOSY(*2)プロジェクトについてお話しします。

CHAPTERBLUEPRINT by RENOSYとは?

BLUEPRINT by RENOSYは、間取図面をディープラーニングを利用して自動で読み取り、間仕切り・ドア・窓・設備関連など各部位を識別してCADデータ化するサービスです。

中古マンションのリノベーション現場では、設計のためには現状の部屋のデジタル図面データ(CAD)が必要になります。

CADデータはマンションを建設したデベロッパーが保有してますが、リノベーション業者が問い合わせて、提供してもらえるケースは極めて稀です。

そのため、マンション販売時のパンフレットにある間取図面を取り寄せて、間仕切り・ドア・窓・設備関連など図面上の線を設計士自らがトレースすることで、CADデータ(CAD)を作成しています。

トレース作業は、ツールに慣れてない人であれば半日以上、ツールに習熟した人ですら数時間程度の時間を要する面倒な作業です。

BLUEPRINT by RENOSYはそうしたトレース作業の自動化を実現することにより、建築士の方々がクリエイティブな作業に集中できる時間の創出に貢献します。

BLUEPRINT by RENOSY コンセプトムービー

CHAPTERBLUEPRINT by RENOSYの裏側の技術

BLUEPRINT by RENOSYの裏側では、ディープラーニングによる画像認識をはじめとした様々な画像処理技術により、アイコン認識(窓やドア、トイレやコンセントなどのアイコン)や輪郭認識(外壁や内壁)を実現して、2D CADデータの出力をしています。

BLUEPRINT by RENOSYの技術構成概要

アイコンや窓・寸法線の検出では、FasterRCNNを用いたObjetct Detectionをしています。

壁検出は特に難しく、様々なsegmentation手法を試しています。これまでにMask-RCNNを用いた手法や、Pexel2PixelをGANで学習させる手法などを検討してきました。

現在もSimon Fraser Universityの古川先生との共同研究(*3)により、高精度化を追究しています。

CHAPTERBLUEPRINT by RENOSYの技術的困難

一方で、間取り図の自動書き起こしにはいくつもの技術的困難があります。

まず1つ目は、図面の表現の多様性です。
例えば窓1つとっても、図面上では様々な形式で表現されます。

実際に種類が異なる窓なこともあれば、会社毎に表現形式が異なるだけなこともあります。そして、窓だけでなくドア・壁・アイコンなど各々の要素について、多様な表現形式が存在します。

それらを正確に認識・表現するために、モデルの作成だけでなくデータ収集・適切な前処理や後処理のアルゴリズムの実装をしています。

2つ目に、サブピクセル単位(*4)での精緻な出力が求められることです。

ディープラーニングは従来に比べて非常に精度の高い画像認識手法ですが、位置をピクセル単位で正確に認識できるわけではありません。そのため、ディープラーニングの出力をそのまま用いると、壁に意図せぬ凸凹が生じたり、ドアが壁にめり込んだりした図面が出来上がります。

赤線は内壁。ドアの位置が壁から離れたりめり込んだりする例。

上記の微妙なズレは1つ1つは大きなものではありませんが、その数が多いと修正コストも非常に大きくなり、一から書くより寧ろ時間がかかってしまいます。

そのため、壁の線の直線化アルゴリズムなどの開発や、アイコンと壁の位置の最適化にも取り組んでいます。

CHAPTERBLUEPRINT by RENOSYの未来

ここまで話してきた通り、間取り図の自動生成は非常に難しい課題です。

しかし我々は、BLUEPRINT by RENOSYを実現できた先に、業界を大きく変える可能性を感じています。

図面を2D CAD化できると、簡易的な3D CADを自動作成でき、家具配置などのシミュレーションや、VR内見ができます。

ただ、冒頭でも申し上げた通り、肝心な中古物件のデータの入手は難しく、紙媒体の図面から人が書き起こす以外の術はありません。

もしBLUEPRINT by RENOSYにより図面のデータ化が可能になれば、パンフレット等の図面情報を読み込むことで、日本中の建物の設計データベースが出来上がります。

結果として、中古マンションリノベの効率化のみならず、家具配置のシミュレーション・3D内見などが可能になり、不動産業界を大きく変革するサービスになると考えています。

CHAPTER最後に

ということで、本日はBLUEPRINT by RENOSYの概要を紹介しました。

AISCでは、「画像処理や機械学習技術を生かして実サービスに展開したい!」「日本の不動産業界をよりいいものにしたい!」といった技術者の方を、積極募集中です!

興味のある方は、是非お話だけでも聞きに来てみてください。

*1) INSIGHT by RENOSY。当社が提供するサービス「RENOSY」において、顧客への投資コンサルティングの際に当社のエージェント(販売担当者)が使用する自社開発の営業支援ツール。
*2) https://blueprint.renosy.com/
*3) 古川泰隆 研究室は、 画像処理や人工知能分野のトップレベル国際会議 ICCV やCVPRなどに数多くの研究が採択されるなど、 不動産、 建設分野での画像解析や3Dモデリング研究で国際的に高く評価される多くの研究成果を出しております。(https://www.ga-tech.co.jp/news/5675/)
*4) 一つのピクセルを構成する色の3原色単位(RGB)の情報)

EDITOR’S PROFILE
山崎 陽平
GA technologies2019新卒入社。京都大学大学院社会情報学卒。大学では医師の診断支援を目的とする深層学習システム開発の研究。入社以降、BLUEPRINT BY RENONSYにて画像処理アルゴリズム・画像認識モデルの開発や、AWSを用いたサービスインフラ設計・開発に従事。
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2020/11/16
建築士の働き方改革。ディープラーニングによる間取図読み取りシステム「BLUEPRINT by RENOSY」の紹介。