
株主・投資家の皆さまへの
ご挨拶
代表取締役
社長執行役員 CEO
樋口 龍
株主の皆さまへ
平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
おかげさまで、第13期も無事に終了いたしました。これもひとえに、株主の皆さまの多大なるご支援のおかげと、深く感謝申し上げます。
第13期(2025年10月期)を振り返って
中期経営計画2026(=以下中計)公表から2回目の決算発表となりました。中計ではFY25は売上収益2,480億円、売上総利益410億円、事業利益60億円を掲げておりましたが、着地は売上収益2,489億円、売上総利益421億円、事業利益72億円と全ての指標で達成することができ、利益においても大幅に上方修正をすることができました。
第9期であるFY21に上場後初の下方修正をして以来、一刻も早くマーケットリーダーになること、そしてマーケットを拡大しながらも収益性をしっかりと向上させることに取り組んできました。その結果、今期は事業利益で72億円を残せるまでになりました。
振り返れば、第10期ではRENOSYにおいて、商品ラインアップの拡充、売り手と買い手のシームレスな取引の実現、ITANDIにおいては、課題であったSMBの開拓に向けた全日本不動産協会“全日”との業務連携、SMBに強いダンゴネット社とのM&A。第11期では全ての経営指標、人事戦略を抜本的に見直し。第12期ではクリエイティブとテクノロジーを強化、アメリカ進出。振り返れば、マーケット拡大に向けた施策と収益性を向上させるために様々な手を打ってきた4年間でした。
その結果が明確に表れてきたのがFY25だったと思っています。
今回の業績は、足元で手を打った結果として達成されたものでも、マーケット環境に恵まれた偶然の成果でもありません。過去4年間にわたり戦略的に講じてきた施策が着実に成果を上げ、その積み重ねが現在の業績につながっていると考えています。
そして今期からは、新たに意識的に取り組んでいることがあります。それはPLの改善だけではなく、資本効率を高めていくということです。
この4年間も資本効率は意識してきましたが、資本効率よりもビジョン実現に向けたM&A、新規事業の構築、収益性の向上を一丁目一番地として、取り組んでまいりました。
FY25は上場後に初めての配当を発表し、キャピタルアロケーションの戦略でもM&Aの選択だけではなく、配当や自社株買いも含めて、株式価値に最大限寄与する選択をしていくという説明をいたしました。
その結果、5年ぶりにROE2桁の15%となり、ROICにおきましても5年ぶりに2桁の13%となりました。
今後は、収益性の向上と資本効率の向上の両方を意識し、PLの改善だけではなく、ROICも高められる経営をしていきます。
しかしながら、安定的な経営を行い成長を目指さないのか、と言われれば、答えは全く異なります。
我々は世界的な会社を目指していますので、成長に向けた投資は変わらず行っていきますし、YoY成長率も30%以上を目指しながらトップラインを拡大していきます。
Customer Focus
毎年グループ全体にスローガンを発表していますが、FY25はCustomer Focusでした。
FY24でも顧客体験の改善に取り組んでいましたが、さらに本格的に取り組んでいくという思いからCustomer Focusとしました。
RENOSYではオーナー満足度を高めるためにOLC(Owner Loyalty Center)という部署を作りました。OLCとはオーナーサポートに特化した専任部署です。
多くの顧客を担当するセールスに対して、顧客フォローを強化するためにOCD(Owner Concierge Division)という部署も作りました。
更に従来の「不動産セールス」という呼称ですと「販売する」という意識が強くなりすぎてしまうので、RENOSYでは「セールス」から、「Asset Planner」という呼称に変更しました。顧客の資産をしっかりと企画する人という意味が込められています。言葉の呼び方だけではなく、「Asset Planner’s Tenets」を策定し、研修を行ったり、Asset Planner資格試験という制度を作り、その試験に合格できないと現場に出られないルールとする等、顧客体験の向上に徹底して拘ってきました。
またオーナー体験だけではなく、入居者体験に対しても取り組み、365日有人対応&Chatbotで対応できるようになりました。
ITANDIにおいても、プロダクトのサービス名が複雑で顧客にとってわかりづらかったため、リブランディングを行いました。「ITANDI 賃貸管理」では、NHK受信契約がオンラインでスムーズに手続きができるようになり、ライフラインサービスの強化を図っています。
顧客体験の向上への投資は、短期的に見るとすぐに収益性には現れません。しかし、顧客体験に向き合わなかったサービスは、中長期で成長し続けるサービスにはなっていません。
そのため、我々は中長期でも選ばれ続けるサービスになるために、顧客体験の向上に投資をしています。
リアル×テックの取り組み
我々のビジネスは、Google、Meta、Microsoftのようなテック完結型のビジネスではありません。
テック完結型であればプロダクトを作って、それをBtoC、BtoBかの違いはあれど、いずれもプロダクト単体でサービスが完結します。
しかし、不動産領域ですとデジタル上だけでは解決しないので、リアルサイド、テックサイドが協力をしてプロダクトを作っていかなければなりません。
FY23においては、リアルとテックの融合を進めるために事業部制を導入するなど様々な取り組みを実施してきましたが、一朝一夕には実現できないため、FY25においては、その領域のさらなる強化に取り組みました。
具体的には、毎週ビジネスレビューという形でリアルとテック責任者が集まりKPIの確認を行う、一致団結プロジェクトというプロジェクトを立ち上げてスピーディーにリアル側の困っていることをテック側で解決する、RENOFAREというイベントを開催しリアルとテックのメンバー全員が集まり戦略を共有する等を行ってまいりました。それらを主軸としながら、RENOSYとITANDIの連携を強化するために、FY25にITANDIの新規プロダクトである「ITANDI 賃貸管理」基幹システムセットをRENOSY ASSET MANAGEMENTに導入しました。RENOSY ASSET MANAGEMENTはプロパティマネジメント事業を行っており、ITANDIの一番の顧客セグメントである管理会社になりますので、RENOSYとITANDI、そしてリアルとテックの融合になります。
RENOSY、ITANDIの戦略について
RENOSYにおける、新たな取り組みは、不動産による資産形成を当たり前にしていくための更なる認知の拡大です。
日本では、従来の不動産投資という言葉は漠然とイメージが良くない、イメージが湧きづらいという課題がありました。
そのため、我々は不動産投資という言葉の概念を変えるために、新たに「AI不動産投資」という言葉で、不動産投資を浸透させていくブランディングの変更を行いました。
徹底的に顧客のニーズを分析し、どこに、どんな顧客がいるのかを把握し、ブランドコンセプトを作り上げてきました。
FY26からはその調査結果を踏まえて、RENOSYとしては初めて大々的なマス広告の戦略を取っていきます。
RENOSYが日本における不動産による資産形成を当たり前にしていくための、大きな一歩だと思っています。
そして、不動産×テクノロジーとして今までサービスの拡大を図ってきましたが、これからは不動産×金融×テクノロジーの時代になっていくと思っています。
資本主義の構造上、資産家が更に資本を厚くする時代から、様々な人たちの資産を増やしていける世界になるよう、RENOSYはサポートをしていきたいと思っています。
その中でFY25に注力していたのが金融領域です。富裕層だけが価値の高い不動産から恩恵を受けるのではなく、多くの方が価値の高い不動産を小口で購入できる。そんな世界を目指して、FY25は金融領域に力を入れていました。
FY26はこの領域を形にしていきたいと思います。
ITANDIにおいては、基幹システムがやっと拡販開始し、ITANDIサービスの領域が拡大しました。
拡販開始が2年近く遅れてしまいましたが、FY25夏以降、本格的に販売をスタートしており、導入は極めて順調に進んでいます。
物件確認、内見予約、申込、契約、更新、退去、原状回復とテクノロジーで不動産取引をなめらかにしてきましたが、最後の基幹の部分が手つかずでした。この基幹システムがあることによって、物件情報、顧客情報が基幹システムと連携されて更なる利便性の向上に繋がります。
そして、ITANDI BBのマーケットプレイスも今期はじめてアドバンスプランという形で、マネタイズもスタートさせました。
今後はもっと管理会社の利便性を向上させていくためにもただSaaSを導入していただくだけではなく、業務全体を請け負うBPOにもチャレンジしていきたいと考えています。
日本の不動産業は特に人手不足が顕著なため、そもそもSaaSを使える人自体がいないという声をよく耳にするからです。
この領域も、RENOSY ASSET MANAGEMENTにて、既にプロパティマネジメント事業を行っているので、SMBの企業様の根本的な課題解決をできると思っています。
アメリカ事業について
FY25にアメリカ事業が初めて単月黒字を達成しました。
国内が中心という戦略は変わらないものの、アメリカ事業の成長は必要不可欠です。
FY25は私自身も2ヶ月ほどアメリカ現地へ行き、プロパティマネジメント会社のM&A、組織体制の変更、ビジネスモデルの変革、カルチャー作りと積極的に進めてきました。
課題は沢山あるものの、アメリカでも不動産投資はまだまだ当たり前ではなく、マーケットリーダーもいませんし、テクノロジー導入もまだまだ発展途上にあります。
日系企業のアメリカ展開、特にベンチャー企業のアメリカ展開でうまくいっているケースはほとんどありません。
そのため、昨年の参入時は心配された投資家の方も多かったのではないかと思います。FY25は単月黒字を達成し、FY26は通期の黒字化を目指しています。
当社にとって初めてのアメリカ進出でしたので、進出前からかなり慎重に進めてはいたものの、想定とは異なる事態が起きたことは事実ではあります。
しかし、大崩れしなかったのも当初見込んでいた大枠の戦略が功を奏したと思っています。
①リカーリングビジネスでの参入②既存事業の強みを活かせる③高いバリュエーションでM&Aをしない。上記の原則があったからこそ、想定と異なる事態が起きたものの単月黒字化が達成でき、FY26は通期での黒字化が見える段階になっていると思います。
国ごとに商慣習はあります。ローカライズする必要がある部分はしていかないといけません。
しかし、アメリカ企業がグローバル展開をしているわけではなく、日本企業がグローバル展開しているので、日本との差をビジネス面だけでなく、カルチャー面においてもGA technologiesグループの強みを浸透させていくべきだと思っています。
日本トップ企業のトヨタ自動車は、彼らの重要な取り組みである「カイゼン」という仕組み、文化を「KAIZEN」という言葉のままグローバルに浸透させています。
当社の大切にしてきた「熱狂」という文化を英単語に変換するのではなく、そのまま「Nekkyo」という言葉を用いて浸透させています。
トヨタ自動車やソニーの様に、戦後の日本を支えた企業がグローバルで戦えただけではなく、2010年以降にできたベンチャー企業がグローバルで戦っていけることこそが、日本経済の発展に大きく貢献できると思っていますので、我々は果敢にアメリカでも挑戦していきます。
組織について
社員は1,600人を超え、改めて、ベクトルを全社で合わせていくために、OUR AMBITIONの改訂を行いました。
今までのミッションはパーパス要素が弱かったので、パーパス要素を取り入れたパーパス、ミッションを追加し、「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を。」から「テクノロジー×イノベーションで驚きと感動を生み、世界を前進させる。」へと変更いたしました。
他にもマネジメントビジョン、人財ビジョンを改訂しています。
FY25は、更なるOFF-JT研修の強化をしており、ロジカルなマネジメント研修だけではなく、私が行うリーダーシップ研修、全社員が参加できる研修と人財育成に今まで以上に取り組んできました。
ベンチャー企業では、人や組織の成長より事業の成長の方が早いとよく言われていますが、その結果、人や組織の成長が追いつかないケースも多いと感じています。
短期的な側面を見ますと事業成長だけにコミットした方が良いかもしれません。
しかし、顧客体験を改善していくことと同じ考えで、中期的な成長を考えた場合は、人の成長にしっかり投資しないと成長は実現しないと思っています。
FY26の数値目標
FY26は、売上高3,230億円、粗利541億円、事業利益100億円という目標になります。
ネット売上収益は559億円が目標になります。テクノロジーでイノベーションを起こしていくことを目指しているので、不動産業界の中でトップになることを目指しているわけではありませんが、売上3,000億円を超えてくると上場不動産会社の中でも10位にランキングされます。
上位20社の創業平均年が約63年(※1)ですので、創業13年目で10位にランクインすることは圧倒的な成長スピードだと思っています。
更に、従来型の不動産会社ではなく、PropTech企業としてランクインしている点も特徴です。
その前提として、売上が3,000億円を超えるのであれば、不動産の棚卸資産は同額の3,000億円近くはあることが一般的ですが、弊社の場合は200億円程度です。
それは不動産を取引する上で、一般的にはCCCが300日(※2)超える中で、当社は16日(※3)という極めて異例の水準を実現しているためです。
これもテクノロジー活用による高い資本効率性の表れです。
AIが一丁目一番地
最後に、不動産業界もAIの活用が一丁目一番地のテーマです。
あらゆる領域がAIに置き換わる中で、人々や企業がその変化にどのように適応していけるか、取り残されないかが非常に重要になってくると思います。
AIの技術が進化しても、そこで大事になってくるのは「データ」です。不動産領域のテクノロジー化が難しい理由の1つにデジタルだけでは完結しない点があります。そのため、十分なデータを保有できている企業はほとんどありません。
当社は不動産ポータルというメディアのみを運営しているわけではありません。メディアのみだとデータの一次情報は取れません。RENOSYはワンストップ完結するモデル、ITANDIはSaaS提供によって一次情報の取得が可能であり、いずれもAI活用においてとても重要なデータを豊富に保有しています。
人手不足の不動産業界、リアルビジネスで、オペレーション構築が必要な不動産業界だからこそ、AIの活用がとても重要であり、AIの参入できる余地はかなり大きいと思っています。当社がリーディングカンパニーとして、不動産業界の一層の進化を牽引していきます。
FY26もOUR AMBITION実現に向けて、社員一同、全力で取り組んでまいります。
樋口 龍
2025年12月(※1)リビン・テクノロジーズ株式会社運営マガジンBiz 「不動産業界売上高ランキング2025」の企業を参照。各社の直近の本決算の通期売上高をBloombergより取得のうえ当社作成
(※2)リビン・テクノロジーズ株式会社運営マガジンBiz 「不動産業界売上高ランキング2025」の上位20社の企業が対象。各社の直近の本決算数値をBloombergより取得のうえ当社作成
(※3)2025年10月末時点 にて計算
代表取締役 社長執行役員 CEO
樋口 龍 (ひぐち りょう)
1982年東京生まれ。幼い頃より世界的なサッカー選手を目指し、ジェフユナイテッド市原(現J2)に育成選手として所属。24歳の時にサッカー選手としての夢を諦め、ビジネスマンへ転身し不動産会社へ勤務。”巨大なマーケットを形成しながらも極めてアナログな不動産業界にテクノロジーで革命を起こす”と志し、2013年に株式会社GAテクノロジーズを設立し、代表取締役に就任。創業時から中古不動産の流通事業を展開。現在はテクノロジーを活用したエンド・トゥー・エンドの不動産流通プラットフォームの構築を中心に、データドリブンでユーザー利便性の高い不動産取引を目指す。また社内業務においても、AI・RPAによる効率化やデータ活用による業務改善に積極的に取り組む。